2013/09/14

女神ペレに挨拶してきたこと


 女神ペレに関する記事を書いてから、ひとつ気がかりなことがあった。あの記事が、ペレさんの逆鱗に触れたのではないか、ということだ。





 私は女神ペレに敬意を表する者である。あの記事でも失礼なことは書いていないつもりだ。しかし、神話をひもとけば、まさに「失礼なことはしていないつもり」の人たちが、溶岩で殺されたり、灌木に変えられたりしている。

 私がそうならないとも限らない。




 そういえば、最近、残念なことが2つあった。

 ひとつは、デジカメ(Canon IXY 90F)が壊れたこと。もうひとつは、自転車(Dahon Mariner D7)の前輪が盗まれたことだ。

 しかし、よく考えてみれば、デジカメが壊れたのは、私が誤って洗濯機に入れたからだ。これは、明らかに私の過失である。さらによく考えてみれば、それはペレさんの記事を書く以前の出来事であった。

 残る可能性は自転車だ。でも、前輪だけを盗むというのは、ペレさんの行動としてはいささか小粒にすぎる。ペレさんであれば、溶岩で自転車ごと灰燼に帰す、あるいはサドルをマグマに変えて私の臀部と自転車を瞬間的に溶接する、といったくらいのことはするだろう。

 ということで、いまのところ災厄は我が身に降りかかっていないようだ。よかった、よかった。
 でも、今後も大丈夫だという保証はどこにもない。やはりここは、ご挨拶に伺うのが筋というものではないか。

 と、そのように妻を説得した私は(生後3か月の息子も「あうあー」と同意してくれた)、単身、ペレさんのご自宅まで足を運ぶことにした。ペレさんのご自宅、すなわち、キラウエア山のハレマウマウ火口である。


一面の溶岩。「世紀末」「世界の終わり」といった言葉が脳裏をよぎる

火口そばのジャガー博物館ではペレさんグッズが充実

溶岩で再起不能になった道路

ハワイ島の固有種、オヒアレフア。溶岩の微細な間隙に根を張って生きる。ハワイ神話によれば、ペレの魔法で灌木に変えられてしまったオヒア(木の部分)と、「せめて恋人のそばに」と別の神様の魔法で花に変えてもらったレフア(花の部分)が合わさったもの。レフアの花を摘むと悲しみの雨が降るといわれる


 キラウエア火山のすごいところは、その噴火が1日で終わるのか、100年間続くのか、誰にもまったくわからないということだ。

 100年という歳月の重みを実感するのはむずかしい。

 いまから100年後の世界は、どうなっているだろうか。

 まず、私は、ほぼ100%の確率で、死ぬだろう。
 これを読んでいるあなたも、ほぼ100%の確率で、死ぬだろう。

 このブログは、どうだろうか。
 あるいは、残っているかもしれない。質うんぬんではなく、単なるデータとして。

 西暦2113年。国会図書館的な場所で、「バークレーと私」に偶然出会う読者。
 この記事を読んで、「デジカメって何だ?」と首を傾げているかもしれない。




 「デジカメって何だ?」と首を傾げる100年後の読者のために解説しよう。デジカメは、漢字で書くと「出痔亀」で、明治時代に女湯のぞきで衆目を集めた池田亀太郎こと「出歯亀」の遠戚にあたる池田亀ハメ破(写真上)が開発した、携帯型自動尻拭き機の名称である。カリフォルニア州サンディエゴに生まれた日系三世の亀ハメ破は、スタンフォード大学ビジネススクールを卒業後、シリコンバレーにおいて便器系ベンチャー企業「Gary Ben」(下痢便)を興した。
 同社は、プロペラ便器、フィットネス便器、ヘリウム便器、尻タッチパネル式便器、冷蔵庫内臓型便器、2輪駆動型便器など、世界の便器業界を震撼させる斬新な製品を次々に発表したが、商業的にはいずれも失敗。その後方針を転換し、便器周辺機器の開発に特化したところ、「出痔亀」の爆発的ヒットによって一躍時の人となった。2013年現在、「出痔亀」の販売数は累計15億台にもわたるという。
 (出所:民明書房刊 「世界の尻を拭いた男 カメハメハ・イケダの挑戦」




 しかし、ほぼ間違いなく言えることがある。
 100年後、いや1000年後も、ペレさんはご健在だろうということだ。

 貧しい人たちが貧しいままでも、
 虐げられた人たちが虐げられたままでも、
 憎しみの連鎖を断ち切ることができずにいても。
 誰かが友達を失っても、
 誰かが恋人を失っても、
 誰かが母親を失っても、
 誰かが息子を失っても、
 誰かが核ミサイルのスイッチを勢いで押して、
 そのためにたくさんの誰かが死んでしまっても。

 ペレさんは、構わず、
 灼熱のかたまりを大地に送りだし、
 そうして新たな島をつくり続けていることだろう。

 気がつくと私は、ハレマウマウ火口に向かって両手を合わせていた。
 なるほど、これが信仰のはじまりというやつか。



2013/09/05

【JGRB】 新入生歓迎会のお知らせ

JGRB(UCバークレー日本人研究者の会)の関連で、バークレー周辺にお住まいの方へのお知らせです。

案内メールが既に届いている方は登録不要ですが(そちらのメールにご返信ください)、「JGRB?何それ?」という方、気楽に私までご連絡ください。


一見さん大歓迎です。

いろいろなバックグラウンドの方が集まる会なので、きっとたのしいですよ!

日時:  9月27日(金)18:00~20:30頃

場所:  台湾飯店 (地図はこちら
費用:  $30 (お子様は無料)


(2013年9月28日追記)
当日は約50名もの方にご来訪いただき、大盛況のうちにイベントを終了することができました(当初の見積もりは30名)。
ご足労いただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

---

以下、本会合のロジスティクスに関する備忘録をまとめておく。今後同種のイベントを企画される方の参考となれば幸いである。


<お店>
 台湾飯店は、バークレーに古くからある「安くておいしい」系の有名な店。おしゃれ度に欠けるきらいはあるものの、「まあこの会合におしゃれ度は要らないだろう」との筆者の独断により決定。


<名簿配布>
 参加者の「氏名」、「所属」及び「メールアドレス」を記した名簿を、当日の受付で配布した。プライバシーの問題については、会合の数日前に(本当はもっと前の方がよかったんだけど)、「差し障りのある方はご連絡ください」の旨を付したメールを全員に送信し、判断を仰いだ。


<席替え>
 当日は、2回ほど席替えの機会を設けた。固定席だと、同じテーブルの人としか仲良くなれない懸念があるからだ。まして今回は新入生歓迎会であり、多くの方が初対面だろうと考えた。
 そうした問題は、立食形式にすれば解決できそうだ。しかし、スープやご飯ものが多い中華料理と立食形式は、相性があまりよくないと判断した。
 席替え形式のアナウンスは、「筆者の幹事挨拶」と「上記名簿に添えた注意書き」を通じて行った。後者の注意書きの内容は以下のとおり。

【おねがい①】
・いろいろな方とお話できるように、席がえをします。
・時間になりましたら、上の番号(註:受付時に番号を各位に割り振った)と同じテーブルに、お皿を持って移動してください。
(司会がアナウンスします)

 結果として、「なるべく多くの人たちと交流してもらう」という当初の目的は大いに達成できたと思う。他方で、お店の貸切スペースが人数に比してかなり狭かったため(店員さん一人がようやく通れるか通れないかというレベル)、参加者に必要以上の労働を強いてしまったかもしれない、という反省点はある。


<専門領域カード>
 バークレーには、さまざまな分野の第一線で活躍する人たちが集まっている。そんな人たちが集まって、ある特定のテーマ(例:介護ロボット技術、開発経済学、エネルギービジネス)について、ゆるめの、しかし知的刺激に満ちたディスカッションを行う場をつくったらおもしろいことになるんじゃないか、というアイデアがあり、その布石として、会場で白紙のカードを配布し、各々の専門領域について簡単に記述してもらうことにした。
 周知方法は、席替え形式と同様、幹事挨拶と名簿の注意書きとした。

【おねがい②】
・受付でカードを配りました。このカードに、「私はこんな研究をしてます/してました」「こんなテーマならお話できます」的なことを、お名前を添えてご記載の上、帰る前までに幹事までご提出ください。
(今後の企画の参考にさせていただくつもりです)

 結果として、バークレーには「おもしろエキス」を持った人たちが実にたくさんいるのだなあ、という嬉しい発見が得られた。
 この企画がどのように発展していくか(あるいは企画倒れに終わるか)、現時点ではまったく未知数である。具体化した際には、このブログを通じてお知らせしたい。会合には来られなかったけど「話せるネタ」ならあるよ、という方、ぜひご連絡くださいませ!

2013/09/03

「エネルギーと社会」のホームページの気前の良さに感心したこと

 UCバークレーのエネルギー入門授業「エネルギーと社会」(Energy and Society)のホームページでは、同授業のスライド、音声、参考資料などが、すべて無料で公開されている。

 アメリカの大学を手放しで褒めるつもりはないけど、「やっぱりすごいね」と思うのは、こういうものを見たときだ。

 やっぱりすごいね。