2013/07/08

ホノルルに来て興味深く思った2つのこと

<ハワイアン航空が面白い>
 サンフランシスコ国際空港からホノルル国際空港まで、ハワイアン航空(Hawaiian Airlines)のフライトに搭乗した。特に深い考えもなく選んだのだが、結果的にはこれがよかった。
 まず、客室乗務員が男女とも全員アロハシャツを着ているのがよかった。乗降時のお客さんへの応対も座りながらである。客室乗務員は心労の激しい仕事と聞くが、ハワイアン航空の場合はどうだろう。少なくとも私にはそう見えない。いい意味で緊張感がないのだ。
 機内放送も気さくである。まもなくオアフ島に到着というところでアナウンスが入ったので、「これより着陸態勢に入ります。皆さまシートベルトをお締めください」的なアレかと思ったら、「明日は客室乗務員のジェームズの誕生日なんだ。みんなでお祝いしよう」というもので、機内全員で「ハッピバースデー・トゥー・ユー」を合唱することになった。ノリとしては完全に小学校の遠足バスのそれである。ジェームズは推定40代のおっさん。照れながらもすごく嬉しそう。いまの彼に、心労は、たぶんない。

 しかし、別の角度から眺めてみれば、格安路線か豪華路線かの二元論で凌ぎを削る航空業界において、悠々と「第三の道」を切り開いているかに見えるハワイアン航空は結構すごい、と思う。実際、全米航空会社の品質ランキングでも堂々の第1位に選ばれている。このブランド価値は、たぶん、島の気風に依存する部分が大きいので、品質維持にはさほどの資本投下を必要としないだろう(強いて言えばアロハシャツに資本投下が必要だが、これはかえって普通の制服より安上がりな気がする)。
 それに極端な話、仮に従業員全員をハワイ州民にしたところでロジスティクスに大きな支障は生じないと思う。全線がハワイ諸島につながるハワイアン航空ならではの強みである。これを他社が安易に模倣するのは難しい。なるほど、よくできたビジネスモデルではないか。
 これは従業員の気風として自然にそうなったのか、それとも経営戦略として意図的にそうしているのか。私は後者の比重が高いと踏んでいる。どこかのMBAでハワイアン航空のケースを扱っていたら、ぜひとも読んでみたいなあ。



<オアフ島の高速道路が面白い>
 私はホノルル到着2日目に自転車を購入し(Dahonの「Mariner D7」。クレイグスリストを通じて、下腹部に脂肪と善意を詰め込んだ東南アジア系のおっさんから250ドルで買った。アメリカに来て自転車を買うのはこれで3度目だ)、オアフ島一周、約180kmを15時間かけて走った。おかげでこの島にぐっと親しくなれた気がする。全身の日焼けと筋肉痛という相応の代償を払いつつも。
 オアフ島の高速道路には、自転車用のレーンもしっかりと確保されている。基本的にはこれに沿って行くだけで島を一周できるので、サイクリングの条件としては最高である。事実、ロードバイクに乗った同好の士を随所で見かけた(折り畳み自転車は私だけだったけど)。

 面白かったのは、山中においてガードレールの無い箇所が散見されたことだ。これぞアメリカという広大なとうもろこし畑の中心を、カミソリで切ったような一筋の道路が続く。これならハンドルを切り間違えて畑に突っ込んでも大事には至らない。畑の持ち主にとってはたまったものではないが。
 道中では、さまざまな鳥たちに遭遇した。小柄で南国的な色調の鳥が多い。ひよこを連れて闊歩する雌鶏もいた。野良の鶏なんて、わたくし、生まれて初めて見ましたわよ。

 もうひとつ印象深かったのは、軽トラックの荷台に乗っているポリネシア風の兄チャンをあちこちで見かけたことだ。軽トラ&半裸の兄チャン。この組み合わせが異様に多かった。
 これを目撃したとき、私の頭にまず浮かんだのは「人身売買」という単語であった。そしてその次に浮かんだのは、童謡「ドナドナ」であった。

 かわいい子牛 売られてゆくよ
 悲しそうなひとみで 見ているよ

 しかし、兄チャンたちの表情は、奴隷にしては少し爽やかすぎる。すれ違いざま、「ハイ!」「アロハ!」とか言って笑顔で挨拶してくれる。そんな奴隷はいるのか。いるわけがない。
 きっと彼らは、軽トラをオープンカーの延長みたいに捉えているのだろう。何人も乗ればそれだけ経済的ということなのだろう。
 でもこれ、少なくとも日本では道交法違反になると思うんだけど、いいんだろうか。まあいいんだろうな。これもアロハ精神ということで。


(2013年8月26日追記: 現地の人から聞いた話では、ハワイ州では荷台に複数の人を載せても法律上問題はみたいです。さらにいえば、バイク運転中にヘルメットを付けなくても合法とのこと。すごいぞ、ハワイ。)
 

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