<バークレー時間>
UCバークレー、少なくともこのGSPPでは、8時の授業は8時にはじまらない。8時に教室に着いても、そもそも教授が来ていなかったりする。ここでは、授業でもセミナーでも、およそ10分~15分遅れでスタートするのだ。
これが、「バークレー時間(Berkeley Time)」である。
噂によると、あるMBAの教授は「私の授業ではバークレー時間は適用されません!」とシラバスに宣言したという。さすがはMBA。でも結局、自身も含めてそれを遵守できる人があまりに少なかったため、なし崩し的にバークレー時間に戻ってしまったという。悲劇なのか喜劇なのか、解釈に困る話ではある。
しかしこのバークレー時間、どうして適用されたのだろうか。私の推測は、
【理由1】キャンパスが広く、移動時間を考慮する必要があるから。
【理由2】西海岸だから。おひさまが、ぽかぽか、あたたかいから。
の2つである。
まともに考えると「移動時間」説に理がありそうだが、級友との待ち合わせなどでも「バークレー時間」がもれなく適用されていることを考慮すると、「おひさま」説も捨てがたい。
結論としては、まあどちらでもよい。
<テストの自由さ>
「バークレー時間」の適用は、テストといえど例外ではない。8時30分にテスト開始という連絡があっても、実際にはじまるのは8時40分だ。
飲食物の持ち込みもオッケーである。コーヒー、サンドイッチ、バナナを机上に置き、盤石の構えでテストに臨む輩も少なくない。日本の大学でこれをやったら「モラル崩壊」「大学の幼稚園化」みたいな連想が浮かびがちだけど、バークレーではむしろ、長丁場のテストだと途中で腹も減るだろうし、まあいいんじゃないっスか?というノリである。
留学生の場合は、電子辞書を持ち込んでも構わない(先生にお願いしたら、あっさり了承された)。これは私にはありがたい。実際、先日の経済学のテストでは「mother formula」の価格弾力性に関する問題が出たのだが、私はこの単語の意味(乳児用調合乳)を知らず、電子辞書がなければ危うく失点するところであった。
でも実は、電子辞書がなくても大丈夫。試験監督のGSI(Graduate Student Instructorの略。教授のアシスタントを行う大学院生)には、テスト中いつでも質問をしてよいのだ。もちろん「この答えは何ですか」みたいなダイレクトすぎる質問は駄目だろうけど(したことないけど)、「この問題文の意味がわかりません」といった質問は、十分に許容範囲である。試験中に生徒がどんどん席を立ってGSIに質問をする様子は、はじめこそ異様に感じたが、慣れてくると合理的でフェアな仕組みにも思えてくる。なるほど、不明点があればその場で解決すればよいのだ。
平方根などの計算を必要とする試験では、電卓を持ち込んでも構わない。電卓を持ってない人は、iPhoneを持ち込んでも構わない。えっ?ちょっと待って、それじゃあ簡単にカンニングできちゃうんじゃないの?と思ったあなた。私もそう思いました。でもそのあたりは生徒のモラルに思いきり委ねられている。というか、ここまでオープンだと、逆にカンニングをする気も起こらないのかもしれない。「北風と太陽」でいえば、太陽的アプローチである。
試験前には、ひょうきん者の生徒が、士気を上げるために(ちょうど小学校の運動会とかでやるように)教室中でウェーブをやったりする。また別のひょうきん者は、バナナのコスプレをして試験を受けたりする。前段の「おひさま」説を支持したくなるゆえんである。私も忍者のコスプレをして、試験中に変わり身の術とかを披露したらウケるかもしれない。あっ、でもそれってただの替え玉受験か。
(2013年5月3日追記: いまのところ替え玉受験はしていないが(当たり前だ)、Grizzly Peakで開催されたトレイルラン・レース(30km)に忍者の格好をして参加した。かなり過酷なレースで、コスプレをしていたのは私だけだったが、応援の子どもたちには大人気だった)
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